『やりたいこと』と『数字』が釣り合わず… 教育系YouTuber・市岡元気先生にとってYouTubeとは 学習 By - GLUGLU編集部 更新:2023-03-14 Share Post LINE はてな 教育系YouTuber、実験系YouTuber、エンタメ系YouTuber…さまざまな『○○系YouTuber』のある中で、1つの型にとらわれないサイエンスアーティストの市岡元気(いちおか・げんき)先生。 日常の不思議を科学で解明したり、人気YouTuberとコラボをしてエンタメとして楽しめる動画を作成したり、さまざまな動画を配信しているYouTuberの1人です。 どの動画でも一貫しているのは「『科学』で楽しませたい」という元気先生の信念。 GLUGLUは、そんな元気先生にインタビューを実施しました。 市岡元気先生が思う、YouTubeだからこそできる挑戦 GLUGLU編集部 元気先生は、職業が『サイエンスアーティスト』ですが、具体的にはどのようなお仕事をされているのですか? 元気先生 サイエンス(科学)を使ったアーティストです。『サイエンス×○○』というように、いろいろなものを組み合わせてやっていく、科学を使った幅広い事業を手がけています。 教育動画を作ったり、テレビでは罰ゲームを作ったりしているという、元気先生。 ほかにも、ライブの演出を考えたり、さまざまな自治体と組んでふるさと納税品の開発をしたり、幅広くなんでもやっています。 そんな元気先生がYouTubeを始めたのは、2019年の9月頃。 チャンネル登録者数は順調に増加し、2023年2月現在では71.8万人が登録をしています。 幅広い場所で科学の楽しさを広めている元気先生が、YouTubeを始めたきっかけは何だったのでしょうか。 元気先生 僕の目標は、科学をたくさんの人に知ってもらい、好きになってもらうこと。科学が好きな人が増えれば、日本が科学技術大国となり、豊かになるんじゃないかなって。 『メントスコーラってなぜ噴き出るのか科学の眼で分析してみた!』より 元気先生は、大学時代に教師を目指していたといいます。しかし、一度に教えきれるのは1クラス40人ほど。 サイエンスイベントなら1回100~1000人ぐらい、テレビやYouTubeでは、一気に数万人、数百万人に教えられるため、YouTubeを選んだそうです。 元気先生 自分自身もやっぱり同じ実験だと興味が持てないので、新しいことや、今までやってこなかったことにチャレンジするように心がけていますね。 『硫酸ぶっかけても世界一の撥水スプレーなら防げる説』より YouTubeではなく、テレビでも何千万人の人に見てもらうことはできます。 それでもYouTubeを選んだのには、このような理由があったからだそうです。 元気先生 テレビは演出家や、スポンサーなどがいて、科学的に面白いものは、取り上げられにくいんです。実験を、20~30個提案しても、科学的にはあまり面白くない3つくらいしか返ってこなかったこともありました。 元気先生 だから、自分がディレクター・プロデューサーとなって、進められるほうが、科学を好きになる人は増えるんだろうと思って、YouTubeを始めました。 『青い鉱物を燃やすと紅色の炎が上がる?セレスタイトという鉱物』より テレビ制作側からリクエストされるのは、お笑いタレントのリアクションが取れる実験や、見栄えのある実験ばかり。元気先生が「科学的に面白い」と思う実験はまったく採用されないといいます。 サイエンスイベントと、YouTubeにあるそれぞれのよさ イベントやライブでも活躍している、元気先生。ライブは映像とは違い、いわゆる『生の現場』です。YouTubeと違う点を聞いてみました。 GLUGLU編集部 生の現場と、YouTubeで大きく違う点はどこですか? 元気先生 YouTubeは、まだ動画になっていないようなものを出さないと、見てくれないですね。 1~2か月かかった実験も編集すれば5分くらいで見られるけど、ライブでは絶対無理じゃないですか。 カフェインを取り出す動画は、実験自体に時間がかかるものでした。さらに、実験器具を借りるため日数を要しましたが、編集をして15分の動画にまとまっています。 出典:GENKI LABO 動画はこちら ほかにも、ライブでは多くの人が集まるため視覚的にも変化が必要だといいます。 元気先生 テレビだと、手元の小さいものも見せられますが、会場には少なくて100人、多くて2千人集まるので、後ろの人から見たら、米粒みたいになります。できるだけ物自体も大きく、変化も大きいものじゃないと、ライブでは見せられません。 また、ライブならではのよさを、このように語りました。 元気先生 「YouTubeを見て、科学が好きになりました」っていう人もいるかもしれないですけど、リアルで見て、身体的に感じるものですよね。音とか温度とか匂いとかを生で感じたほうが、より科学の面白さっていうのは伝わるので、両方バランスよくやっていきたいです。 YouTubeで伝えるよりも、リアルで見たほうが10倍…100倍科学に関する楽しさや、興味は伝わりやすいという、元気先生。 2021年5月には、チャンネル登録者数30万人が突破した記念として、12時間の生配信を実施し、300もの実験を披露しました。 2023年2月までに約800本近くの動画を投稿。動画の企画となる実験が尽きることはないのでしょうか。 GLUGLU編集部 動画の企画はどういう時に思いつくのですか? 元気先生 コメントから思いつくこともあれば、テレビやニュース、アニメなどを見ていて「これ、実験できるかな」っていうのもあります。 元気先生は「何千個かやりたい実験は溜まっていて、思いついたものは全部携帯にメモをしています」と、びっしりと書かれた企画メモを見せてくれました。 「企画を思いつくのは、何気ない実験以外の時」という元気先生。目に映る日常が、科学と結びついているようです。 しかし、やはり多くは子どもや視聴者からのコメントがきっかけとなるそうで、印象に残っているリクエストを聞いてみました。 元気先生 『宝石ガチャ』っていう本物の宝石が入っているカプセルトイがあるんですよ。それが、「本物の宝石なのか、分析してほしい」といわれたので実験しました。 出典:GENKI LABO 動画はこちら 元気先生 あと、「静電気でガソリンに本当に火がつくんですか」っていう素朴な疑問から、実験をしましたね。 僕は、「静電気で火はつくだろう」とは思ってたけど、実験をやってみると、文献に書いてある内容とは異なるということも、結構ありましたね。 次のページ人気動画クリエイターとしての苦悩「数字が伸びない」 1 2 チャンネル情報 GENKI LABO チャンネル登録者数:104万人 再生回数: 10億4923万613回 関連ワード インタビュー市岡元気 この記事をシェアする Share Post LINE
教育系YouTuber、実験系YouTuber、エンタメ系YouTuber…さまざまな『○○系YouTuber』のある中で、1つの型にとらわれないサイエンスアーティストの市岡元気(いちおか・げんき)先生。
日常の不思議を科学で解明したり、人気YouTuberとコラボをしてエンタメとして楽しめる動画を作成したり、さまざまな動画を配信しているYouTuberの1人です。
どの動画でも一貫しているのは「『科学』で楽しませたい」という元気先生の信念。
GLUGLUは、そんな元気先生にインタビューを実施しました。
市岡元気先生が思う、YouTubeだからこそできる挑戦
元気先生は、職業が『サイエンスアーティスト』ですが、具体的にはどのようなお仕事をされているのですか?
サイエンス(科学)を使ったアーティストです。『サイエンス×○○』というように、いろいろなものを組み合わせてやっていく、科学を使った幅広い事業を手がけています。
教育動画を作ったり、テレビでは罰ゲームを作ったりしているという、元気先生。
ほかにも、ライブの演出を考えたり、さまざまな自治体と組んでふるさと納税品の開発をしたり、幅広くなんでもやっています。
そんな元気先生がYouTubeを始めたのは、2019年の9月頃。
チャンネル登録者数は順調に増加し、2023年2月現在では71.8万人が登録をしています。
幅広い場所で科学の楽しさを広めている元気先生が、YouTubeを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
僕の目標は、科学をたくさんの人に知ってもらい、好きになってもらうこと。科学が好きな人が増えれば、日本が科学技術大国となり、豊かになるんじゃないかなって。
『メントスコーラってなぜ噴き出るのか科学の眼で分析してみた!』より
元気先生は、大学時代に教師を目指していたといいます。しかし、一度に教えきれるのは1クラス40人ほど。
サイエンスイベントなら1回100~1000人ぐらい、テレビやYouTubeでは、一気に数万人、数百万人に教えられるため、YouTubeを選んだそうです。
自分自身もやっぱり同じ実験だと興味が持てないので、新しいことや、今までやってこなかったことにチャレンジするように心がけていますね。
『硫酸ぶっかけても世界一の撥水スプレーなら防げる説』より
YouTubeではなく、テレビでも何千万人の人に見てもらうことはできます。
それでもYouTubeを選んだのには、このような理由があったからだそうです。
テレビは演出家や、スポンサーなどがいて、科学的に面白いものは、取り上げられにくいんです。実験を、20~30個提案しても、科学的にはあまり面白くない3つくらいしか返ってこなかったこともありました。
だから、自分がディレクター・プロデューサーとなって、進められるほうが、科学を好きになる人は増えるんだろうと思って、YouTubeを始めました。
『青い鉱物を燃やすと紅色の炎が上がる?セレスタイトという鉱物』より
テレビ制作側からリクエストされるのは、お笑いタレントのリアクションが取れる実験や、見栄えのある実験ばかり。元気先生が「科学的に面白い」と思う実験はまったく採用されないといいます。
サイエンスイベントと、YouTubeにあるそれぞれのよさ
イベントやライブでも活躍している、元気先生。ライブは映像とは違い、いわゆる『生の現場』です。YouTubeと違う点を聞いてみました。
生の現場と、YouTubeで大きく違う点はどこですか?
YouTubeは、まだ動画になっていないようなものを出さないと、見てくれないですね。
1~2か月かかった実験も編集すれば5分くらいで見られるけど、ライブでは絶対無理じゃないですか。
カフェインを取り出す動画は、実験自体に時間がかかるものでした。さらに、実験器具を借りるため日数を要しましたが、編集をして15分の動画にまとまっています。
出典:GENKI LABO 動画はこちら
ほかにも、ライブでは多くの人が集まるため視覚的にも変化が必要だといいます。
テレビだと、手元の小さいものも見せられますが、会場には少なくて100人、多くて2千人集まるので、後ろの人から見たら、米粒みたいになります。
できるだけ物自体も大きく、変化も大きいものじゃないと、ライブでは見せられません。
また、ライブならではのよさを、このように語りました。
「YouTubeを見て、科学が好きになりました」っていう人もいるかもしれないですけど、リアルで見て、身体的に感じるものですよね。
音とか温度とか匂いとかを生で感じたほうが、より科学の面白さっていうのは伝わるので、両方バランスよくやっていきたいです。
YouTubeで伝えるよりも、リアルで見たほうが10倍…100倍科学に関する楽しさや、興味は伝わりやすいという、元気先生。
2021年5月には、チャンネル登録者数30万人が突破した記念として、12時間の生配信を実施し、300もの実験を披露しました。
2023年2月までに約800本近くの動画を投稿。動画の企画となる実験が尽きることはないのでしょうか。
動画の企画はどういう時に思いつくのですか?
コメントから思いつくこともあれば、テレビやニュース、アニメなどを見ていて「これ、実験できるかな」っていうのもあります。
元気先生は「何千個かやりたい実験は溜まっていて、思いついたものは全部携帯にメモをしています」と、びっしりと書かれた企画メモを見せてくれました。
「企画を思いつくのは、何気ない実験以外の時」という元気先生。目に映る日常が、科学と結びついているようです。
しかし、やはり多くは子どもや視聴者からのコメントがきっかけとなるそうで、印象に残っているリクエストを聞いてみました。
『宝石ガチャ』っていう本物の宝石が入っているカプセルトイがあるんですよ。それが、「本物の宝石なのか、分析してほしい」といわれたので実験しました。
出典:GENKI LABO 動画はこちら
あと、「静電気でガソリンに本当に火がつくんですか」っていう素朴な疑問から、実験をしましたね。
僕は、「静電気で火はつくだろう」とは思ってたけど、実験をやってみると、文献に書いてある内容とは異なるということも、結構ありましたね。