どうやって、著作権違反を見つけているの? GoogleとJASRACがタッグを組んで…

ニュース By - GLUGLU編集部 更新:

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動画を投稿したら『著作権の申し立て』と表示され、ドキッとしたことはありませんか。

それは、YouTubeが著作権者を守るために、自動的にコンテンツを識別したからかもしれません。

2023年2月10日、YouTubeを運営するGoogleは、YouTube上での日本音楽著作権協会(以下、JASRAC)管理楽曲の利用について、新たにJASRACと許諾契約を締結したことを発表。

同年3月15日に、記者向けにYouTubeの音楽著作権処理に関する説明会を行いました。

Content IDって何?GoogleがJASRACと協力して行うのは…

Googleで、ミュージックコンテンツパートナーシップディレクターを務める鬼頭武也氏は、YouTubeの著作権処理の考え方を説明。

基本的には、音楽や映像の著作権者とYouTube動画のクリエイターが直接、使用の可否などを動画公開前に聞いて解決すべきですが、お互いの時間も手間も取られてしまいます。

そのため、YouTubeは、著作権者が正しく権利をコントロールできるような3つのツールを用意。

それが①ウェブホーム、②コピーライトマッチツール、③ Content IDです。

YouTubeが行う著作権者を守る3つの方法

①ウェブホームとは、すべてのユーザーが利用可能なツールで、著作権をあまり保有しておらず頻繁に削除依頼をしない人が使うツールです。

申請用の専用フォームに入力するもので、申請後に審査のうえ、対応されます。

②コピーライトマッチツールは、YouTube Studioの中に組み込まれている機能の1つ。頻繁に削除依頼をするクリエイター向けで、自分の動画の一部や、全部が含まれる第三者の動画を自動的に検出します。

③ Content IDは、YouTubeの自動コンテンツ識別システムで、オリジナルの著作権者は第三者がアップロードした動画に著作物を使用されていることが分かります。著作権者は、『ポリシー』によって第三者の動画をコントロールできるツールです。

Googleは、JASRACと許諾契約を締結したことにより、「さらにContent IDの精度が上がると考えている」と報告しました。

Content IDのポリシーは3つあり、ブロック、収益化、トラッキングを著作権者が選ぶことができます。

『ブロック』をすると、ほかのユーザーが動画を視聴できないようになり、『収益化』は動画そのものは視聴できますが、著作権者が広告を入れて収益を得られるようになります。

『トラッキング』は、ブロックも収益化もしませんが、Googleアナリティクスのように著作権者がユーザーの情報を見ることができます。

Content IDの仕組みは?

どのようにして、自動でコンテンツを識別しているのか気になりますよね。

著作権者は、YouTubeに権利情報などを登録しています。その際、YouTube側が権利物の特徴点を符号化したファイル『フィンガープリント』を作成。

これは、映像・音声そのものを符号化したのではなく、あくまで特徴点を符号化したもののため、色や画角、比率が違う場合も特徴点は同じと判断されます。

また、音源の場合は、音源そのものの特徴点だけでなく、メロディーラインの特徴点も自動的に抽出してスキャンをかけているそうです。

そのフィンガープリントは、クリエイターが動画を投稿した際にも作成されるので、すでに提出されているフィンガープリントのデータと特徴が合致したものを自動で識別し、Content IDの申し立てが自動的に生成されます。

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2022年上半期に行われたContent IDの申し立ての合計件数は、7億5千万以上。

2021年12月時点で、Content IDを通じて申し立ておよび収益化されたコンテンツから、著作権者に支払った広告収入の金額は75億ドル(日本円でおよそ1兆113億円)といいます。

Content IDは、著作権者を守る、YouTubeにとって大切なツールといえそうです。

ショート動画の収益化は?

また、2023年2月1日よりショート動画が収益化されました。

長尺動画では、動画1つずつに広告が付いて収益化する方法でしたが、ショート動画では、上にスワイプして動画を見ていく中で、表示される広告から収益を得られるようになりました。

一度ショート動画全体で得られた広告収益から、分配可能な収益をまとめます。

その後、収益化対象のショート動画に音楽が使用されているか、されていないかに分けて再計算され、最終的に収益化を行っているクリエイターに分配が行われる手順になるそうです。

時代とともに、変化するYouTube。

YouTubeは、4つの責任として下記の4つを挙げています。

・コンテンツを削除する(Remove)。

・信頼できる情報源を見つけやすくする(Raise)。

・有害な誤情報とガイドラインのボーダーライン上のコンテンツの拡散を減らす(Reduce)。

・信頼できるクリエイターに還元する(Reward)。

これからもクリエイターも著作権者も守りながら、配信を楽しめるプラットフォームとしてあり続けるでしょう。


[文・構成/GLUGLU編集部]

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